親方コラム

2020年11月10日
両横綱に加え、朝乃山まで休場になってしまった三日目である。西岩部屋は若金子が前に攻める相撲で二連勝とした。朝稽古に加え、毎日続けている夜のトレーニングの効果で体も一回り大きくなり、先場所より力がついた。若松永は立ち合いもよく一気に相手を押し出した。足も良く出て内容がともなった勝利である。勝ち越して三段目を目指してほしい。八女の里は下から相手を押し上げ、そのまま押し出し。こちらも内容がともなった勝利である。今日は三人とも内容の良い相撲で勝ってくれた。まだ三日目だが、いい流れがきているように感じる。このまま頑張ってもらいたい。
西岩
2020年11月9日
11月場所二日目。今日は三人が土俵に上がった。若箭原は立ち合い当たってすぐにはたき込まれてしまった。場所前に稽古してきたことができなかった。もっと立ち合いを強く当たらなければ勝てない。相撲は立ち合いで勝負が決まると思って、次は強く当たってもらいたい。若金子は立ち合いすぐにもろざしになり、寄り切った。体も大きくなり地力がついてきたように思う。先場所負け越した悔しさを忘れずに頑張ってもらいたい。若松永は相手にいなされバランスを崩してしまった。手だけで突っ張るのではなく、足を前に出す事を忘れないでもらいたい。
まだまだ戦いは始まったばかりだ。
2020年11月8日
今日から11月場所が始まった。今場所は上限5000人のお客様を入れることになった。審判で土俵下に座っていても今までとは違い熱気があり盛り上がっているように感じた。さて、我が西岩部屋のトップバッターは若藤岡である。攻めたり守ったりの長い相撲になり最後は土俵際での突き落とし。長い相撲で苦しかったと思うが、よく我慢した。相撲で一番大事なのは我慢することである。今日の若藤岡は我慢できたのが勝因だった。若田中は得意の右の上手を取っての寄り倒し。懐の深さを生かした若田中らしい豪快な相撲だった。八女の里は、立ち合いもよく、そのあとの攻めも良かったが、勢い余って俵から足が出てしまった。土俵際でのミスである。残念だが相撲の内容はとても良かった。相撲に勝って勝負に負けた相撲である。しかし、負けるには原因があるはずだから修正するところは修正して次の相撲を頑張ってもらいたい。
さあ、長い15日間の戦いが始まった。
西岩
2020年11月6日
いよいよ11月場所まであと二日になった。昨日は若大根原、若金子のことを書いたので今日は若田中、若箭原のことを紹介したいと思う。若田中は関西人らしく明るい性格で、よくしゃべり、ムードメーカーである。電車が好きだが今は新型コロナウイルスの影響で電車に乗ることをひかえている。相撲の方は、手足が長く懐が深い。AB型でつかみどころのない性格は、相撲にも表れている。小さくまとまることなく大きく育っていってほしい。若箭原は中学時代テニスをしていた。相撲は全くやったことがなく、前相撲では一番も勝つことができなかった。しかし、七月場所、九月場所と二勝ずつあげた。場所前の稽古を見てもどんどん成長しているのがわかる。勝ち越しできる日も近いような感じだ。さあ、いよいよ明後日から戦いが始まる。大統領選挙より激しい戦いをしてくれ。今日も読んでいただきセンキュー!
西岩
2020年11月5日
今年の三月に新弟子が四人入門した。四人とも個性豊かである。若大根原はボクシングからの転向で入門した。初めて会った時は体が細いので大丈夫かなと心配したが、初稽古の時に裸になった姿を見てびっくりした。「モニタリング」のドッキリではないかと思うくらいムキムキの筋肉質の体だった。相撲を取らせてみると瞬発力があり、ボクシングで鍛えた体は伊達ではなかった。練馬区出身の関取はまだいないとのことなので、第一号を目指してもらいたいと思う。
若金子は、二所ノ関一門の創始者である横綱玉錦と同じ高知県高知市出身である。小学校の時にサッカーで高知県の代表選手になったこともある運動神経の持ち主で、体が柔らかく力士向きの体つきである。それに加え努力型で夜のトレーニングは欠かさない。地元高知は、今は脂がのった戻りガツオの時期である。11月場所は、高知の戻りガツオのように元気一杯頑張ってもらいたい。今場所は全員の勝ち越しを祈る。大統領選挙のような接戦ではなく圧勝してもらいたい。ちなみに私はトランプ大統領から「センキュー」と言われ肩を叩かれた男だ。どうでもいい情報である。コラムを読んでいただきセンキュー。
西岩
2020年11月3日
今日は若藤岡のことを書こうと思う。東大阪市出身で17歳。私は中学生の藤岡君の稽古を何度も道場に見に行ってスカウトした。若松永とは同じ大阪出身ということで、同郷同期のライバル関係である。謙虚でおとなしく「すみません」が口癖だ。あまりにも口癖のすみませんを連発するので、すみませんという言葉は謝罪の時に使う言葉だから、謝る時以外は使わないようにと指導したことがあった。若藤岡からは「すみません」と返ってきた。入門以来、なかなか勝ち越すことができずにいた。3勝3敗から最後の相撲に負け、勝ち越しを逃したことが5度もあった。そして今年の一月場所、入門二年でついにその時がやってきた。この場所も3勝3敗になり、最後の相撲に勝ち越しをかけ土俵に上がった。私は審判だったので土俵下から見ることになった。そしてついにその時が来た。寄り切りで若藤岡が勝ち越しを決めたのだ。たかが序ノ口力士の勝ち越しではあるが、私のとってはこの上ない喜びだった。私は涙をこらえた。そして、勝ち越した瞬間の若藤岡の表情を忘れることができない。これからも、同郷同期の若松永と切磋琢磨し、競い合い、競争してほしい。「大阪徒競走」だ。
西岩
2020年11月2日
11月場所まで一週間を切った。西岩部屋ではみんなが順調に稽古をしている。三段目に再挑戦する若松永も好調をキープしている。先場所は序二段の二枚目という番付で三段目昇進をかけた場所だったが残念ながら負け越してしまった。今場所こそは決めてもらいたいと思う。若松永をスカウトするのに何度も中学校に行ったのを思い出す。中学三年で既に120キロの体格で、ラグビー部に所属し、太ももの太さは中学生離れしていた。相撲経験はなかったが持ち前の運動神経で、わずか二年で三段目昇進をかけるところまで来た。スクワットは200キロを上げる。私も17歳の時は200キロはできなかったと思う。大阪出身で人情味があり、困っている人がいたら放っておけない性格は、まさに「大阪のオカン」のようである。大阪のオカンといってもポケットにアメちゃんは入っていないと思うがどうだろうか。そして、私と同じく足が短いのも相撲向きである。今場所こそ三段目昇進を決めてもらいたい。
西岩
2020年10月27日
新番付も発表されいよいよ11月場所が近づいてきた。11月場所が東京で行われることについて不思議な感じがするが、力士達は与えられた環境で頑張るだけだ。九州出身の八女の里にとっては楽しみにしていた九州場所がなくなったのは残念だったと思う。八女の里は西岩部屋の創設と同時に入門し二年半が経った。三段目には何度か昇進しているものの今場所は序二段に番付を下げている。まずは三段目定着と幕下昇進を目指してもらいたい。口数は少なく、不満や泣き言は一切言わずに努力している姿は、まさに昭和の力士、いや、サムライのようだ。聞いてもないことまでベラベラ喋る「芸能人力士」が多い中、寡黙に頑張る姿は西岩部屋っぽい力士の代表である。立ち合いの当たり、左右のおっつけ、押す力、スピードを身につけ、本格的な押し相撲を身につけてもらいたい。そして、ふる里の八女に錦を飾り、西岩部屋を引っ張っていってもらいたいと思う。さて、八女茶でも飲んで寝ることにしよう。
2020年10月24日
11月場所まであと2週間となった。日本相撲協会も、全ての部屋に不要不急の外出を禁止する通達を出した。力士は11月場所千秋楽まで約一ヶ月間の自粛生活が始まった。私も同様である。これも全て11月場所を無事に開催するためである。少し窮屈な生活になるがみんなで乗り越えていこうと思う。
今日は久々に朝稽古で土俵の中に入った。あ、力士ではなく私の話である。序ノ口の若箭原、序二段の若金子に稽古をつけた。みなさん、私が吹っ飛ばされたと思うでしょうが、残念ながらまだまだそうはいきません。二人はまだ私を押すことができずにヘトヘトになっていた。44歳になったがまだ私も大丈夫でした。と、同時に、弟子達には早く強くなって私を吹っ飛ばしてもらいたい。それが私にとって一番嬉しいことである。私もまだまだ元気だ。次は三段目の八女の里に稽古をつけてみようかな。三段目相手なら吹っ飛ばされるかもしれないな。いやいや、まだまだそうはいかない。三段目相手ならまだまだ大丈夫だ。さて、体中にシップを貼って寝ることにするか、、、。
2020年10月16日
季節は変わり、実りの秋、そして食欲の秋になった。特に果物は収穫の季節になり、我が故郷もりんごの収穫の時期に入った。この時期、青森ではあちこちで木に生った真っ赤なりんごを見ることが出来る。実に綺麗な景色である。私の友人知人もりんご農家をやってる人がたくさんいるので西岩部屋にもたくさんのりんごが届きありがたい限りだ。先日、テレビで担々麺ナンバーワンを決める番組を見て、居てもたっても立っても居られなくなり連日担々麺を食べに行っている。担々麺は私の好物のひとつである。私にとっては食欲の秋、真っ最中である。そういえば大相撲11月場所観戦ツアーがGoToトラベルのキャンペーン対象になったらしい。これを利用してお客様が増えてくれることを願うばかりだ。話は戻るが、私は食欲の秋で連日食べ過ぎている。私の胃袋はGoToトラベルではなくGoToトラブルである。
西岩