親方コラム

2023年11月26日
九州場所もいよいよ今日が千秋楽。西岩部屋の力士達も日々健闘してくれた。そんな中、入門以来まだ勝ち越しのなかった若清がついに勝ち越しを決めてくれた。入門して1年8ヶ月、10場所目である。相撲が大好きな少年で、相撲未経験で飛び込んだ相撲界。やせ細った体をぶつかり稽古で鍛え、体重を20キロ増やし、自分の力でもぎ取った勝ち越しである。たかが序二段、それも最下位の100枚目の力士が勝ち越したくらいで師匠の私が喜んでいると笑われるかもしれないが、弟子の成長に番付など関係なく努力の成果が報われるのは嬉しいものだ。若清にとって今年は父親の不幸もあり、苦しかったことだろう。大相撲の世界で頑張ることを約束した父親も天国で喜んでるに違いない。若清が墓前に勝ち越しを報告する姿を想像すると私も涙腺がゆるんでしまう。若く清らかな心を持った若清に今後も期待したい。
西岩
2023年7月1日
名古屋場所初日まであと一週間となった。猛暑のなか名古屋場所宿舎の稽古場で力士たちは汗を流しているが、その中に若新の姿がない。若新は五月場所の最後の相撲で膝を痛めてしまい、精密検査の結果は前十字靭帯断裂と半月板断裂の大怪我であった。主治医と相談しながら治療法を考え、6月28日に手術を受けた。私も同じ怪我で手術をしたことがあるのでどれだけ大変な怪我であるかはよくわかる。復帰まで約八ヶ月かかる見込みなので長期休場になるが、しっかりリハビリをしもう一度元気な姿を見せてもらいたい。手術前には恩師の墓参りにも行って手術することを報告した。きっと恩師も復帰までの道のりを応援していることだろう。土俵に復帰し、勝ち越しを決めたらもう一度墓前に報告してもらいたい。みんなが若新の復帰を待っている。私のコラムは誰も待っていない。
西岩
2023年6月29日
名古屋場所の番付が発表になり、若田中が三段目に昇進し、若双葉に改名をした。改名にあたり、何通りもの案を考え、若田中の家族とも相談し、最終的には私が考えた若双葉という四股名に決めた。四股名を決める上でまず考えたのは、若田中は兄弟力士で弟の里田中がいること。これからも兄弟二人で力を合わせ、二人で頑張ってもらいたいとの思いで「双」という文字を考えた。そして若田中は18歳と若く、相撲人生の中で、種を巻いて新芽が出て、これからどんどん成長していってもらいたいとの思いで「若葉」という文字が浮かんだ。もちろん「若」は私の若でもある。双葉の新芽が出て、これから大きな花を咲かせてもらいたい。兄弟二人で頑張っていってほしい。そんな思いで「若葉」+「双」で「若双葉」という四股名にした。新芽の双葉がたくさん日光を浴びて、たくさん水分を吸収して、どこまで成長してくれるか楽しみである。ちなみに私は「若枯葉」、、、である。
2023年3月30日
春場所が無事に終わった。西岩部屋でも力士全員が健闘し精一杯闘ってくれた。そんな中、私のブログにも書いたが透輝の里が西岩を卒業した。昨年引退を決意し地元の大阪場所を取り終えての引退となった。3勝3敗で迎えた最後の相撲は家族も館内で見守り、私も花道奥から見守った。残念ながら勝ち越しすることはできなかったが涙を流し花道を引きあげる姿が印象的だった。千秋楽打ち上げパーティーでは参加者全員でハサミを入れ、最後は私が止めバサミを入れた。整髪後は、私が6年前に断髪式のときに着たタキシードを着て打上げに参加した。なかなか似合っていてイタリアの紳士かと思った。少々褒め過ぎかな。
ここ数年は一番兄弟子として部屋を引っ張ってくれた。相撲未経験で入門し三段目55枚目まで番付を上げることができた。私は相撲だけではなく力士として必要なことを教えてきた。これから社会に出て頑張ってくれることと思うが、日本相撲協会の力士だったこと、西岩部屋卒業生第一号ということに誇りを持って生きていってほしい。そして、西岩部屋にはどんなときも透輝の里の味方である仲間達がいることを忘れずに。たまには遊びにこいよ。手ぶらでいいからな
西岩
2023年3月12日
春場所が始まった。横綱照ノ富士は休場したが、私のコラムは休場する訳にはいかないので久々に投稿する。西岩部屋としては2勝3敗の初日になったが内容的には勝ってる相撲もあったのでまずまずのスタートと言っていい。日本中がWBCで盛り上がっているが大相撲も負けないように力士達は頑張ってもらいたい。WBCで流行しているペッパーグラインダー(Pepper GrinderのGrindは「身を粉にして働く」「粘り強くいく」という意味)のように頑張ってもらいたい。
私はペッパーミルというオシャレなものは使ったことはない。私はもっぱらSBのテーブルコショーである。あの赤いフタの四角のビンのラーメンに入れる157円のコショーである。ちなみに私は先日、車が故障した。さあ、明日は私がNHKの向正面の解説である。テレビのリモコンのミュートボタンを押して見ていただきたい。
西岩
2023年1月8日
今日から初場所が始まった。西岩部屋は4人が相撲を取って3勝1敗とまずまずのスタートを切った。この調子で千秋楽までいってもらいたい。世間では年末年始の休暇を利用して帰省したり旅行に行ったり楽しい時期だが、力士にとっては楽しい年末年始は無く初場所に向けて稽古をしている時期である。力士の正月は初場所が終わってからとよく言われるが、初場所が終わると正月の雰囲気などどこにもなく寂しい気持ちになるものだ。令和五年は西岩部屋として新しいことに挑戦していきたいと思う。その第一弾として本日西岩部屋公式ツイッターが開設した。西岩部屋の情報を少しでも発信できたらと思っている。興味のある方はフォローしていただきたい。なんもでーへんけど。
西岩
2023年1月2日
新年あけましておめでとうございます。今年は卯年ですのでウサギのようにピョンピョン跳ねて前に進んでいきたいものだ。私のように太っていると跳ねる事はできないので転がって前に進んでいきたい。西岩部屋の初場所の番付は、9人の力士のうち5人が自己最高位で迎えている。どんどん自己最高位を更新して行ってもらいたい。私は、昨日の大晦日は紅白歌合戦を見て過ごした。大晦日はいろいろな番組があるが私は紅白派である。紅白を見ないと年は越せない。古いかもしれないが家族で紅白歌合戦を見て、ゆく年くる年のゴ〜ンの鐘の音で年を越す。これが楽しみである。知らんけど。さあ、令和五年も頑張っていこう。西岩部屋では3日が稽古始めである。親方ブログでも案内しているが後援会員様に限り稽古見学ができるのでぜひお越しいただきたい。なんもでーへんけど。
西岩
2022年11月17日
大相撲九州場所も始まり西岩部屋の力士達も日々健闘している。そんな中、昨日(11月16日)は若新の20歳の誕生日だった。西岩部屋が産声をあげた場所に15歳で入門し、あっという間に20歳になった。中学時代は、元新花山の故千葉公康さんの指導を受け、千葉さんの紹介で西岩部屋に入門してきた。千葉さんはいつも若新の事を気にかけていた。私に電話をしてくると「耕司(若新)は一生懸命やってますか?勝ち負けや番付は関係ない。相撲を通して一生懸命頑張る事、努力する事を覚えて欲しい」と口癖のように言っていた。そして「耕司が怠けたら教えてください、東京まで私が叱りに行きますので」という決まり文句で毎回電話を切った。千葉さんの言葉は厳しくも温かく若新に対する愛情が伝わってきた。そんな耕司が、千葉さんのシコ名から一文字いただき「若藤岡」から「若新」になって20歳の誕生日を迎えることができた。昨日ばかりは千葉さんも喜んでいた事だろう。場所中なのでお酒で乾杯とはいかないが、場所が終わったら20歳の乾杯をしたいところだ。今場所は現在1勝1敗。勝ち越しをして20歳を祝ってもらいたい。私は46歳、祝う必要はない。
2022年9月11日
十五夜が過ぎ、大相撲秋場所が始まった。暑い夏に汗をかいた分、実りの秋にしてもらいたい。今日の西岩部屋は残念な結果だったが、まだ始まったばかり。明日からの頑張りに期待する。
新型コロナウイルスが世の中に広まってから二年半の間、千秋楽打上げパーティーを休止してきたが、今場所は久しぶりに千秋楽打上げパーティーを開催する事になった。感染対策をしながらの打上げではあるが、久しぶりにみなさんとお会いできるのは楽しみである。西岩部屋の九人の力士のうち、六人が初めての打上げにパーティーになる。ようやく皆様に六人をご紹介できる日がきた。力士達が頑張って良い成績を残し、たくさんのお客様に来て頂き、楽しい打上げパーティにしたい。
今場所から日本相撲協会公式ツイッターに私のコーナーができた。「華麗なる取組 ここ一番」というタイトルの動画である。お気付きの方もいると思うが、このタイトルは、、、、ああ、お腹がすいてきた。
西岩
2022年8月21日
今年の夏は東北の豪雨など異常な気候が続いている。予測を立てにくい天気は、いつになったら投稿するかわからない私のコラムと同じである。季節はあっと言う間に夏が過ぎ秋に差しかかろうとしている。暑い中、毎日稽古に励んでいる「西岩殿の9人」もお盆には休暇を取り夏を楽しんだ。私は大好きな夏の高校野球を毎日のように見た。地元の高校を応援したり、注目選手の活躍に期待をしたり、今年も楽しさと感動をたくさん味わうことができた甲子園であった。一部のネットでは、大阪桐蔭の監督と西岩親方が似ていると話題になっていた。なんとも複雑な心境ではあるが、有名な指導者と比べていただきありがたい限りである。その甲子園も明日で終わりだ。私は、暑いのは苦手ではあるが夏が終わりそうなこの時期は何か寂しい気持ちになる。と同時に力士にとっては秋場所が始まる季節になる。私にとっては食欲の秋が始まり、胃袋の中が秋場所になる。
西岩