親方コラム

2020年11月20日
13日目。貴景勝が1敗を守った。そんなことより、西岩部屋に嬉しいニュースがあった。なんと、若箭原が勝ち越しを決めたのだ。本人には申し訳ないが、信じられない。びっくりだ。3月初土俵で、前相撲では一番も勝つことができなく全敗だった。相撲未経験どころか、入門当初はシコも踏めないし、腕立て伏せは1回もできなかった。しかし、15歳ということもあり長い目で育てていけばいいと思っていた。それが僅か9ケ月後に本場所の土俵で勝ち越しを決めたのだ。モニタリングのドッキリより驚いた。私にとっては、ビックリして世の中から新型コロナウイルスが消滅するんじゃないかと思うくらいの出来事である。場所前の稽古では力がついてきたなと思う場面もあった。7月場所は2勝、9月場所も2勝、今場所は3勝できたらいいなと思っていた。それがなんと4勝で勝ち越しをしてしまった。もちろん本人の努力の賜物である。毎日の稽古は辛く苦しいものだったと思う。自分自身で勝ち取った素晴らしい勝ち越しである。おもいっきり褒めてあげたい。若箭原の事を書いていたらコラムの500文字が足りなくなった。若田中、若金子、若大根原の事が書けない。sorry
西岩
2020年11月19日
今日は12日目。志摩ノ海が1敗でトップを並走している。史上四人目の幕尻優勝も現実味をおびてきた。西岩部屋は若藤岡がまわしを取って自分より大きな相手を寄り切った。負け越しはしているが最後まで諦めない姿勢は大事である。あと一番も勝って今場所を締めてもらいたい。若田中は大きな相手に突っ張って闘志を見せたが、押し出されてしまった。3勝3敗になったので最後の相撲で勝ち越しを決めてもらいたい。若松永は突き放していったが、相手におっつけられ横を向いてしまった。危ないと思ったが重い足腰で残し、突き落としで相手が膝をついた。4勝目ををあげ、勝ち越しを決めた。今場所三人目の勝ち越しである。もう一番残っているので、5勝目をあげ三段目昇進を確実にしてもらいたい。さあ、7人の力士は残すところあと一番ずつとなった。次の相撲は今場所最後の相撲であり、2020年最後の相撲である。全員が勝って今年一年を締めくくってもらいたい。終わり良ければすべて良し。
西岩
2020年11月18日
今日は11日目。幕下の納谷が来場所の十両昇進を確実にした。ご存知のように大横綱大鵬関の孫である。楽しみな力士がついに上がってくる。既に幕内で活躍している、琴ノ若、琴勝峰など、若くて有望な力士と共に大相撲新時代を作ってくれそうな気がする。いずれも二所ノ関一門の後輩なので頑張ってもらいたい。西岩部屋は、若箭原が今日もいい相撲をとった。攻める相撲で押し出し。3勝目をあげた。相撲未経験で15歳で入門してきて半年が過ぎ、少しずつ力をつけ、相撲を覚えてきたような気がする。最後の相撲に勝ち越しをかけることになった。若金子は今日も早い相撲で押し出した。内容もよく前に攻める相撲での5勝目である。若大根原は大きな相手に上手を取られて、投げられてしまった。怪我があるが言い訳はできない。次こそは頑張ってもらいたい。八女の里が上手投げで勝ち、勝ち越しを決めてくれた。私も土俵下で見ていたが、心臓がいくつあっても足りない。勝った瞬間はホッとした。三段目復帰も確実にしたので、今以上に精進してもらいたい。さあ、今場所もあと四日。そして今年の大相撲もあと四日で終わりである。思えば涙がパラーリパラリ。
西岩
2020年11月17日
今日は十日目。若箭原は、目がさめるような会心の相撲で2勝目をあげた。勝ち方も豪快に決まったので私もビックリした。思わず、やればできるじゃないか!と心の中で叫んでしまった。次も今日のような相撲を取ってもらいたい。若田中は立ち合いは褒められたものではないが、そのあとは激しく動いてのはたき込み。稽古場より本場所で強いタイプだと思う。良い意味で不思議な力士であり、未知数の伸びしろがあるように感じる。若松永は得意の突き押しが出たが負けてしまった。敗因は高さである。もっと腰を下ろして低く突っ張る稽古をしてもらいたい。明日こそ勝ち越しを決めてほしい。八女の里は立ち合いは当たっていったが、右の脇が空いてしまった。相手に差され、上手を取ったものの寄り切られてしまった。もっと脇を締めておっつけていく相撲を覚えてもらいたい。次こそ勝ち越しを決めてくれ。今場所もあと五日。みんな疲れもあるだろうが、もうひと踏ん張りだ。私も298円のキューピーコーワゴールドドリンクを飲んで寝ることにしよう。
西岩
2020年11月16日
今日は九日目。高安、やればできるじゃないか!内容も伴った相撲で照ノ富士に勝利。全盛期を彷彿させる力強さと上手さだった。私は審判で土俵下に座っていたが、この相撲ならもう一度大関昇進することも夢ではないと感じた。いい相撲だった。さて、今日の西岩部屋は若藤岡が上手を取って前に攻めていったが土俵際で逆転されてしまった。あと一歩だった。バースデー白星とはいかなかった。土俵際は相手が必ず逆転の技を仕掛けてくるということを頭に入れておいてほしい。若金子は大きな相手に上手を取られて寄り切られてしまった。相手は元幕下力士で大きくて強いと感じたかもしれない。こういう経験を繰り返して強くなっていく。良い経験になったと思う。残り二番頑張ってもらいたい。若大根原は相手の懐に入り、前に攻めていったが、若藤岡同様に土俵際で逆転負けをしてしまった。土俵際まで攻めても、相手に上手を取られると逆転されてしまうということを学んだと思う。明日は、八女の里と若松永が勝ち越しをかけて土俵に上がる。二人とも明日決めてもらいたい。
西岩
2020年11月15日
今日はようやく中日。半分が終わったことになる。まずは若箭原。立ち合い頭で当たっていったが、強い当たりができずに押し出されてしまった。もっと強い当たりができるように稽古をしてほしい。若藤岡は大きな相手に胸を合わせがっぷり四つに組んでしまい、上手を取られて上手投げで負けてしまった。もう少し工夫がほしかった。若金子は大きな相手に上手を取られ危なかったが逆転勝ち。柔らかい体を生かしての粘りで逆転するのも若金子の持ち味である。ストレート給金は嬉しかったことだろう。私も嬉しかった。若大根原は今日から出場である。軽量をつかれ負けてしまったが、怪我もよくなったので千秋楽まで頑張ってほしい。若松永は得意の突き押し相撲で勝った。危ないところもあったが持ち前の運動神経で立て直し、押し出した。3勝目とした。八女の里は立ち合いもよく一気に押し出した。内容が伴ったいい相撲で勝った。こちらも3勝目である。八女の里と若松永は来場所の三段目も視野に入れて頑張ってもらいたい。さあ、後半戦も頑張ってくれ!
西岩
2020年11月14日
今日は七日目。今場所は、どうやら貴景勝と照ノ富士の一騎討ちになってきた。今日は若田中だけが土俵に上がった。立ち合いからの攻めが出なかった。上手を取りに行ったがすぐに切られてしまい防戦一方になり負けてしまった。これからは、立ち合いから激しく攻め立てる相撲を取ってもらいたい。そうすれば懐の深さが生きてくるはずだ。明日は中日で折り返しになる。みんな疲れが出てくる頃と思うが、もう一度フンドシを締め直し後半戦頑張ってもらいたい。そして足の怪我で休場していた若大根原が明日から出場する。出場する以上は怪我は言い訳にならない。全力で頑張ってもらいたい。明日は六人が土俵に上がる。私の心拍数が上がりそうだ。
西岩
2020年11月13日
六日目、幕内では千代の国が六連勝とした。有望力士だったが何度も膝の大怪我で休場し、幕下に落ちては這い上がってきた力士である。九重部屋では一番の努力家で力士の手本だと聞く。私は以前から千代の国を応援していた。なぜなら誕生日が同じだからだ。納豆の日(7月10日)である。もちろん生まれた年は全然違う。生まれた年も同じと言ったら千代の国ファンに怒られてしまいそうだ。さて、今日の西岩部屋は若箭原が立ち合いで失敗し負けてしまった。若箭原の課題は立ち合いである。相撲で一番大切なのは立ち合いだ。もっと稽古して良い立ち合いを身につけてもらいたい。若藤岡は前に攻めることができなかった。守りだけでは勝てない。がむしゃらに前に攻める相撲を取ってもらいたい。若金子は立ち合いから攻め続けて三連勝とした。内容もよく好調を維持している。勝ち越しをかけた次の相手は田子ノ浦部屋の足立だ。私の直属の弟弟子である。若金子には四連勝で勝ち越しを決めてもらいたい。若松永は本来の突き押し相撲で完勝だった。今場所こそ三段目昇進を決めてもらいたい。11月場所はまだまだこれから。頑張れ。
西岩
2020年11月12日
今日は五日目。正代までもが休場となってしまい、少し寂しい土俵になると思ったが、十両の土俵で宇良が盛り上げてくれた。なんと27年ぶりとなる大技、居反りを決めたのだ。反り技なので、宇良も裏返った。ちなみに27年前は智ノ花が決めたらしく、その時は29年ぶりだったらしい。つまり、約30年に1度しか見ることのできない大技が出たのである。70年に1度しか見ることのできないハレー彗星ではないが、今日のお客様は珍しいものを見ることができた。
しかも宇良はこの居反りが得意技だというから驚きである。だいぶ脱線したが、今日の西岩部屋は、若田中が立ち合いすぐに上手を取っての上手投げで一瞬で勝負を決めた。ハレー彗星のようだった。懐の深さが生きた一番だ。八女の里は立ち合いに本来の当たりがなく、まわしを取られてしまった。不利な体制になったが我慢して攻めをしのいで勝利をもぎ取った。本来の相撲ではないが、不利な体制からの勝利に精神面の成長が感じられた。相撲は不利な体制になってもあきらめずに我慢して勝ちにつなげることが大事である。序盤戦の5日間が終わった。さあ明日からは中盤戦だ。
2020年11月11日
今日は四日目。昨日の相撲で足首を痛めた新大関の正代がどういう相撲を取るか気になったが、やはり本来の相撲ではなく、あっさりと押し出されてしまった。これ以上休場者が出て欲しくないと祈ると同時に、しっかり治すことも大事なので複雑である。さて西岩部屋は、若箭原が押し出しで勝利を挙げた。立ち合いにバランスを崩して一瞬ヒヤッとしたが、そのあとは攻める相撲ができた。少しずつ相撲を覚えてきたので頑張ってもらいたい。若藤岡は長い相撲になった。我慢して相手の押しをこらえ、押し返し、最後は寄り切ったと思ったが、僅かに足が先に出てしまった。九分九厘勝った相撲だった。しかし内容は悪くない。諦めることなく必死に戦っている姿は気力が充実しているように感じる。明日につながる内容の良い相撲だった。審判で土俵下にいた私も思わず力が入ってしまった。若田中は一気に押し出されてしまった。立ち合いから攻めることをしないで上手を取りにいったのが敗因だ。まずは強く当たって相手を攻め込んでから上手を狙う相撲を取ってほしい。そうすれば懐の深さが生きてくるはずだ。今場所は出場力士全員が勝ち越しという目標に向かって頑張ってもらいたい。
西岩